インストール失敗の原因は!?

CentOSインストールに惨敗した翌日、プレ美さんが来社しました。

現在、保育園に通う二人の女の子を育てているプレ美さんは、週2日の本社出勤以外は在宅勤務です。
更に、本社の勤務時間は8時半から5時半までですが、時短勤務適応中は9時半から4時半までです。
そのため、保育園の送り迎えができてプレ美さんは、「とても助かる」と退社時はいつも軽い足取りです。

「おはようございます」
「おはようございます。早速なんだけど、CentOSをインストールしていた時のキャプチャ画面と手順書を見せてくれないかな」

と、プレ美さんが私の隣に着席し、ノートPCの準備をしながら言いました。
はい、と私も着席し、自分のノートPCにキャプチャしていたエクセルファイルを映し、手順書も差し出しました。
彼女はその2つを見比べるやいなや、

「あー、成程ね」

と、然もありなんといった様子で大きく頷きました。

「あの、何が『成程ね』なんですか?」

私は首をかしげました。何が然もありあんなのか、さっぱりピンときません。

「ここよ、ここ!」

プレ美さんが片手に持った手順書の最初の方のページを指差したので、私は覗き込みました。

「ああ、『仮想マシンの作成』の所ですか?」

「そうそう、サリ子ちゃん、メモリーサイズ2000MBに設定したでしょう」

「はい」

素直に答えます。だって、そこにそう書いてありますもん。

メモリーサイズの設定
メモリーサイズの設定(実際のキャプチャ画面)

サリ子困った 「だけど、サリ子ちゃんが使っているるPC。メモリの空きは、2GBも無いんじゃない?」
「……えっ?」

メモリ? メモリって何だろう?

知らない単語が1つでもあると私の思考回路はショートしてしまいます。

「すいません、メモリって何でしょうか?」

固まる私に、プレ美さんが優しく微笑み掛けました。そして、

「自分で調べてよ、その位」

ではなく、

「メモリというのは、データの一時保管場所のことで、メモリの容量が大きい程PCの動作が早くなるの」

 と、教えてくれました。

「はぁ……」

データがどうたら、メモリがこうたら、一体どういう意味だろう。つい、伏し目がちな反応になっていました。そんな私の脳内電波をキャッチしたのか、

「ちょっと、タスクマネージャーを起動してみましょうか」

と、プレ美さんが言いました。

「えっ、あぁ、はい」

彼女の意図について見当がつかないものの、キーボードの「Ctrl」・「Alt」・「Delete」キーを同時に押し、指示に従いました。タスクマネージャーなんてPCがフリーズした時にしか起動しませんよと、胸中では、ぼやきつつも――。

「次に、『パフォーマンス』タブから『メモリ』を確認してみましょう」
プレ美さんは続けます。

タスクマネージャーからメモリを確認
タスクマネージャーからメモリを確認

「そこのメモリの所、現在使用中が2,9GBで使用可能が938MBしかないよね?」

「そうですね。これとCentOSがフリーズしたことと、何か関係があるんですか」

「うん、大ありだよ。CentOSで『仮想マシンの作成』で必要なメモリーサイズを2000MBに設定したから、PCの容量がオーバーしてフリーズしたと思うんだ」

「そ、そんなことおっしゃっても、手順書には『2000MBに設定して』って書いてあったのですが……」

あくまで、「手順書通りに行った」と強調したい所です。

「社給のPCはどれも8GB位あって、その場合は2000MBでいいんだけど、サリ子ちゃんのは、その中でも4GBしかなかったのね。だからサリ子ちゃんの場合は、手順書通りじゃなくて、ウィンドウの表示通りに1024MBに設定しておくべきだったの」

「そ、そんなぁ~」

私は、肩を落としました。こんなちっぽけなことでインストールに失敗するなんて。

「でもね」

と、プレ美さんは片手に持っていたプリントをデスクに置き、

「ここを見てくれる?」

と、「仮想マシンの作成」のとある箇所を指差しました。そこには※印があり、少し小さな文字で注釈が付いています。

※但し、各自PCのメモリーを考慮した上で、当該仮想マシンのメモリーサイズを調整すること

「ここに、そのことが書いてあったんだけど……」

「ああ、そういう意味だったんですね。別にそこを読み飛ばしたわけじゃなかったんですけど、書いてある意味が分からなかったので無視しました」

 手順書、手順書と連呼した自分が恥ずかしくて堪りません。全ては、それをしっかり読んでおけば済んだ話です。ひょっとこ唇で弁明する私にプレ美さんは、

「結局、読み飛ばしたんですね」

 等という、追い打ちをかけることは言わないでくれました。その代わり顔を曇らせる私に、

「それじゃあ、もう一度トライしてみましょう」

と、ほっこりした笑顔を向けてきました。私の枯れた心に、じわじわと潤いが染み渡ってきました。

「はい」

元気なお返事で私は隣で見守るプレ美さんと共に、再び「Oracle VM VirtualBox」を起動しました。

Oracle VM VertualBoxの起動
Oracle VM VertualBoxの起動

<次回、遂にCentOSインストール成功か?! 後半に続く!>

登場人物プロフィール

IT未経験新人サリ子
サリ子(2X才)
都内私大文系卒。大学卒業後、数年間サービス業に従事。この度当社に中途入社。
IT経験:
未経験、知識ゼロ
入社時のITスキル:
Microsoft Office Specialist (Word, Excel, Power Point)
配属先:
システム技術部


新人教育担当プレ子
プレ美(3X才)
中途入社6年目、当社で育休・産休を取得。
現在、在宅ワークで勤務中。週に2日、本社に来てサリ子の面倒を見てくれる。
IT経験:前職はインフラSE、当社ではWeb開発。
IT未経験新人サリ子
サリ子
(2X才)
都内私大文系卒。大学卒業後、数年間サービス業に従事。この度当社に中途入社。
IT経験:
未経験、知識ゼロ
入社時のITスキル:
Microsoft Office Specialist (Word, Excel, Power Point)
配属先:
システム技術部


新人教育担当プレ子
プレ子
(3X才)
中途入社6年目、当社で育休・産休を取得。
現在、在宅ワークで勤務中。週に2日、本社に来てサリ子の面倒を見てくれる。
IT経験:前職はインフラSE、当社ではWeb開発。